活きの良さを決めるイカの管理

河太郎の各店には、店内に海水をなみなみと湛える大きな「いけす」(生け簀)があり、イカが悠々と泳ぐ光景を見ながらお食事を楽しんでいただけます。いけすの中でしっかりとイカを管理することが、美味しいイカ活造りの秘訣です。さっそく河太郎店内でのイカの管理についてお話しましょう。

①イカはどうやって運ぶの?

イカはトラックの荷台に水槽をとりつけた活魚車(かつぎょしゃ)で運びます。活魚車の水槽に海水を満たし、漁船や漁港のいけすからイカを生きたままカゴですくって運び入れます。運搬中は水槽の中に空気を送り続けて酸欠を防止し、できるかぎりストレスを与えないよう慎重に運転します。

②いけすの水温や水質はどれくらい?

いけすの管理の秘訣は、できる限りイカが採れた海の環境を再現することです。水温は季節によって設定をおよそ15〜17℃の間に調整します。ちょうどサウナの水風呂くらいの水温ですね。かなり冷たいことが想像いただけると思います。

いけすの海水は紫外線殺菌・ろ過した活性海水を使用(中洲本店・博多駅店)し、店内のろ過装置を通して常時循環させています。海水循環ポンプの向きや水量を調整して海水の流れをつくることが重要です。流れがあることでイカが一定方向に向きを揃えて泳ぐようになります。

泳がせるイカの量にも注意を払います。水質がわるくなると、死にやすくなります。どれくらいのイカを泳がせられるかは、水槽の大きさ、イカの種類や状態、漁の仕方、漁港からの運搬距離などによって変わってくるので熟練の判断が必要になります。

いけすの水中では、細かい空気の泡を吐き出す(エアレーション)装置を24時間作動させています。そのため普段はいけすの水面が泡立ち泳ぐイカの姿が見えにくいですが、調理のためイカをすくう時にはエアレーションを止めるので、その瞬間はイカが綺麗に見えるチャンスです。

③エサは与えてるの?何を食べる?

お店ですぐ提供される分だけをほぼ毎日仕入れているため、エサを与えることはありません。イカは小魚やエビ、時には共食いもする獰猛な生き物です。なので店内でもイカのいけすと、その他活魚のいけすは分けて管理しています。

④イカはどれくらい生きる?

海で獲られて港から生きたまま運ばれ、店内のいけすの中で泳ぐイカはどれくらい生きるのでしょうか。イカの種類や時期、漁の方法にもよりますが最大で4〜5日は元気よく泳ぎ続けます。

⑤素手では極力触らない

イカは熱に非常に弱く、人間の手の温度もイカにとってはヤケドするくらい熱いものです。なので、素手でさわるのは極力少なく、イカをさばくその瞬間だけが理想です。イカを漁船や活魚車から移動させるときは、カゴや網で丁寧に扱うことを徹底しています。